~はじめに~
“暮らしの中で逝く“こと
これを緩和ケア病棟にいるときから大切にしていた事。病室であっても、そこはその方の生活空間であり暮らしの場であるから・・・。
入院されてこられた患者さんに、必ずお伝えしていたことがあります。『第二の我が家』ですと。そんな心でお迎えしていました。
暮らすとは、居・食・住だけでなく『生き方』も含まれていて、暮らしは一日一日を過ごしていくこと。
だから、暮らす場所というのは、人それぞれの価値観や状況で変化するもので、暮らしがあると思うのです
私たち一社)繋は、その人のもつ価値観を知り、支えるお手伝いをさせていただきます(*^-^*)
前回の続きから、『暮らしの中で逝く』を考えてみたいと思います????
~みんなが幸せで笑顔にいるために選ばれた暮らしの場所・・・生き方~
(前回からの続きです)
マッサージをしているこの患者さんは
きょうだいの多い長男さんで
ごきょうだいの皆さんから慕われる優しいお兄さん
みんなの面倒を見てきた立派なお兄さんです!と妹さんから、患者さんが寝入った時に、小さな声でお聞きしました。
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人に迷惑をかけたくない。みんなが笑顔でいる事が、お兄さんの幸せ…そんな価値観をお持ちなのでしょうね
そう妹さんにお伝えすると
自慢の兄です!そう話され涙ぐまれてた
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明け方5時過ぎ
『外の景色を自分の足で立って見たい』
意識もしっかりしており、支えがあれば立ち上がりか可能である状態
これが自分の足で立つ最後の時間。そう患者さんから伝わってくる空気。
だからこそ、支えはパートナーのスタッフではなく、奥さんにお願いをしました。
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朝もやのかかった爽やかな風を浴び、患者さんは深呼吸をされ
『はぁ〜気持ちいい』と細いけれど、そこには安らぎのある穏やかな声を聞くことができました
すると、患者さんから突然
『宮崎さん 今日、家に帰りたいけど、いいかな?』と、外出の希望を言われました
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1週間前、外出予定だった朝に痛みが強くなり、熱発までされて外出が流れていました
『そうですね、帰れるように 主治医と相談してきます。帰れるといいですよね』
そうお返事しました
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退室後
そっと廊下に出てこられた妹さんへ
『ご自宅に帰れる最後のチャンスです。が、外出中もしものこともあり得ます。帰られる場合は万全の準備をしてサポートします。その覚悟をすみませんが持てるかどうかです。
こちらも主治医の確認を取ります。ご家族の覚悟が持てなくても良いです。その時は主治医が許可しても、お兄さんへは許可が出なかったとお伝えします』そう説明しました
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出張中の主治医へ電話で報告
『いいよ!もしもの説明もしたんだね。後は家族の気持ちに沿うだけ。行ってらっしゃいって伝えておいて!よろしく頼む』と許可が出ました。
先生なら許可が出る!そう分かってたけど嬉しかった。患者さんやご家族の想いを大切にするという、あの時のうれしさは今でも覚えています(*^-^*)緩和ケアナースになって2年目の夏
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緩和ケア病棟に入院したら退院は疎か外出も出来ない場所だと思われている方が多いという印象を受けます
だから、〜してみたい。そんな希望や想いを口に出していいんですよ????
そして医療スタッフは、その組織で出来ることを、普段の会話の中で伝えてください(多分多くの方がされているかとは思いますが、一応????). .
~暮らしの中で逝くことを希望された患者さんとそれを支えたご家族~
連れて帰ります
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本人の気持ちを再度確認され、奥さんと妹さんが出した覚悟
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患者さんの症状が出ないよう、予防的な処置を行い、必要物品を持たれて、奥さんの運転で外出されました。そして無事に帰ってこられました
*今は介護タクシーが充実しています。車椅子のままや、ストレッチャーで横になった状態で、目的地まで移送してもらえます。その他、熊本では旅行に行きたい方にも対応している会社もあります
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2日後だったように思います
緩和ケア病棟の一室ではあるけれど、奥さんと大勢のごきょうだいやご親戚の皆さんに囲まれて旅立たれました。
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お帰りの際、葬儀屋さんのお車ではなく、何時もの車の助手席に座られた患者さんを、後ろから奥さんが支えられ、弟さんの運転でご自宅に戻られたようです
そして、そのお車の後を、ごきょうだいやご親戚の車が10台近く連なって行かれた光景が印象的だったよと、看取りをされた先輩から出勤してすぐに教えてもらいました
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翌年の春
患者さんが大事に手入れされていた花が咲いたから見に来てと、奥さんからお誘いを受け伺うと
お庭に枝垂れ梅の大木があり、見事な花を咲かせていました。感動しかない迫力と美しさ・・・
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梅の花を愛でながら
奥さんとお話をさせてもらった中に、最後の外出の話が出ました。
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あの日 最後の外出の時ね
家の中には入らなかったのよ
家の周りをこのままゆっくり走ってくれと
家の周りや畑を目を細めて眺めてた
近所の方がいて、気づかれたから、何度も会釈をして手を振って挨拶してた
見届けるようだった
あの時、覚悟して良かったわ
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その人が大切にしている暮らしを守りたい。つまり、逝く場所という場所に拘るのではなく、価値や生き方を守りたい。
だからこそ!
今が外出のタイミング、これが最後かもしれないタイミング…それを感じ分かるから、
『今』できることを提案していたのでしょう
それは、これから生きる家族のためでもある。患者さんもご家族も後悔しない生き方をサポートするため
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仮に外出が出来なくても、望みを叶えるために考えた時間を過ごしたという事実がある
それは生きる支えになってくれる
望まない方も中にはいらっしゃいます。どれが正しいのではなく
あなたが何を望まれているのか!それが大切なこと
ご家族が望まれていても
本人が嫌!というケースも多々あります。うちの父がそうでした????. .
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暮らしの中で逝く
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病室が暮らしになっているのか
ご自宅が暮らしのままであるのか
その方々や状況で違い変化します
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患者さんだけでなく、まわりの覚悟も必要
そのために、ズレや誤解や思い込みがないかなど
心の整理って、それぞれの立場でも、より自分らしく生き抜くために大切な事
そう思っています
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30歳一般人?から医療の世界に入ったからこそ、言葉や認識の違いが分かる
だから医療側の意見、患者側の意見の調整が図れます
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緩和ケア病棟にいたからこそ
伝えることができるアドバイスがある
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それが 繋が皆様へできるお手伝い
どんな状況の中でも
より自分らしく生きて欲しい
私たちがサポートします
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