お正月をご自宅で過ごされた患者さんのお顔は歯が見えるほどのニコニコとした笑顔にすっきりとした雰囲気を感じました。奥さんだけでなく、患者さん自身が自宅に戻りたい気持ちもまた聞いてたので、自分の思うようにご自宅で過ごせたのだと、お顔を見てわかりました。
奥さんの手料理のおせち料理を食べて、家族の時間をのんびりと過ごしたとのこと。そして、全ての荷物をご自分で焼却され処分したことを奥さんから聞きました。
病院に戻られた患者さんのお顔は、ニコニコとしていて、すっきりとしていました。『良かったよ 良かったよ 全て片づけてきたよ!荷物も心も これでもう思い残すことはないよ』そう話す手には、ご自宅の庭に咲いている蝋梅の花枝を病棟のお土産にと持って帰ってきてくれました。
それから数週間後に奥さんと娘さんに見守られながら旅立たれました。とっても穏やかなお顔でした。
奥さんから『最期までしっかりやったから、この先胸を張って 生きていけます。やり切りましたよね~』と、泣きながら、でも笑顔で話されました。娘さんからも『母も私も、父を看取らないだろうし、絶対に泣かないと思ってきましたが、、、でもこうやって父を看取れて本当に良かったです。なぜだろう涙が出ますね。良かった。本当にこれで良かった』と涙されました。
患者さんの思いを優先に動くことはいい事かもしれません。が、しかし、その患者さんのキーパーソンである方々の思いがどうであるのかを知る必要があると思います。"同じ方向を向いているか"それぞれの立場の人が、その人らしく生きることができるようお手伝いする。それが私たちの使命だと思っています。
このケースは、誰にでもある意地やプライドを整理したところ、患者さんの希望と同じ線路であったから、患者さんの希望が叶えられました。が、全てがそうではありません。患者さんの願いがその通り叶えることができないこともあります。その時は、あるがままの事実を共に受け入れ寄り添い続けます。
????写真は我が家の蝋梅の花。実はこの患者さんがお土産でもって帰ってきてくれたから知ったお花なんです。とてもいい香りに惚れて、我が家の庭にも植えました。毎年この花が咲くと、患者さんやご家族のお顔が浮かびます。
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